2024年12月7日~8日に実施した「当事者とともに考える子ども・若者ケアラー支援のための専門職養成講座」についてお知らせします。
今年度は「子ども・若者ケアラーの声を聴く/声から考える」をコンセプトとして、どんな子ども・若者ケアラー支援がいま必要なのか、「支援」とはなにか、多様な現場の第一線で子ども・若者の支援にかかわる専門家の4つの講座を開講しました。
4つの講座を通して、専門職が自分の実践をいかにして省察するかをAOP(反抑圧的ソーシャルワーク)やジェンダー規範、居住、当事者参画といった視点から受講者と当事者コメンテーターが一緒に考える機会になりました。講座を通して感じたモヤモヤ、気づきなど受講生の方にも貴重な2日間であったと思います。
以下、各講座の感想を掲載します。
講座①「権利擁護と反抑圧的ソーシャルワーク」竹端寛さん(兵庫県立大学環境人間学部教授)

感想文抜粋
支援者、当事者という立場を超えて、ともにより良い方向性や生活のあり方を考えていく上で、「ともに教え合い」「理解し合い」「探っていく」ことの大切さと難しさを教えてもらいました。自分のあり方、社会のあり方、支援のあり方、立場のあり方、一人の人間としてなどあらゆるものを問い直す、とても鋭い講義でした。
関係性の中での心配事を増やすという部分を実践していきたいです。今回の講座を聞き、心配事は関係性に存在するものであるという気づきを得ました。今までは利用者さんの心配事として利用者さんと支援者に線を引き捉えることが多かったですが、心配事を利用者さんと支援者の関係性に組み込み、with nessの考え方を大切にし支援に向き合いたいです。
ケアラーへの言葉がけについて、具体的な改善のヒントをいただいたので直してゆこうと思う。また共感よりもまずは観察に基づく理解が大切であるという考え方も今後のアセスメントにおいて非常に参考になった。
講座②「親を追い詰めない支援を考えるー母親規範からの解放」横山登志子さん(札幌学院大学人文学部人間科学科教授)

感想文抜粋
思わず「ひどい」と言いたくなるお母さんたちが自分の目の前に現れた時…。否定せず理解すること。自分のモヤモヤと向き合いながら、理解の解像度を上げていくこと。私にできるだろうか。これは本当に大切だと思う。横山先生が話しておられた、実際の支援の現場でお母さんたちに伝えている言葉が、真冬日に羽織るブランケットのように暖かくて、夢中でノートに書きとめた。「しんどいよね。」「ちょっと休もう。」「お母さんの顔をおろしたい時ある?」「自分のために贅沢して使う時間、何か好きなものを買うこと、やってみようよ来週。」母としての責任がちょっとでも緩むような言葉を、伝え続けられるような教員でありたいと思う。「お母さん」というのはその人の名前ではないから。
支援現場におけるジェンダーの視点を取り入れるという部分を実践していきたいです。
ジェンダー差別には気をつけているつもりでしたが、今回の講座で近代家族のバイアスが自分にあることに気がつきました。現代家族のチームで家族するという方向性がとてもわかりやすく、家族丸ごと支援には欠かせない観点です。スタッフ間でも都度共有していき、ジェンダーセンシティブチェックリストから自らのジェンダー規範を自覚し、実践していきたいです。
その人がなぜそういった価値観を持っているのか、を個人を責めずに社会に対して目を向けていく視点。最近、父親の育児への不関心が気になっていたのですが、「父親も育児に参加させるべきだ」という意識では分かり合えないと思いました。今後、具体的にどのようなアプローチができるか…を考えていきたいと思います。
講座③「若者の生を支える住まいとその選択肢」岡部茜さん(大谷大学社会学部コミュニティデザイン学科講師)

感想文抜粋
若者に家・学校以外の居場所を作ることの重要性を改めて感じた。第三の居場所において新たなコミュニティを形成し、本人が本当に困った際スムーズに支援を行えるように準備しておくことが大事なことだと感じた。
居場所で過ごした時間やそこで構築した関係が、子どもにとっての安心のネットワークになるように、ありのままを受け入れられるような居場所を目指したいと考えた。
気軽に利用できる居住地のなかには、あやしい団体も含まれることがあるので、あまり軽い気持ちで利用しないように、伝えていくこと、また、若者が利用できる制度を知っておいて、伝えられるようにしたいです。
講座④「当事者のこども・若者参画をどのように進めるか?」川中大輔さん(龍谷大学社会学部准教授/シチズンシップ共育企画代表)

感想文抜粋
ヤングケアラーは専門家と聞いて、自分自身の虐待の経験も含めて本当にそうだなと感じました。期間や痛みは人それぞれちがうので経験した人にしかわからないので、それを目の前の子どもたちと同じにしないことが大切だと思いました。
コミュニケーションの取り方、ファシリテートの仕方。とても勉強になりました!思ったことを話せば良い、ということが前提にあると話すことへのハードルがかなり下がったので、実践してみたいなと思いました。
まとまっていなくても自分の意見は述べる。第三の居場所で子どもたちの場を読むこと(観察)をしたいと思います。
修了者(敬称略)
アドバンスドコース 16名
伊貝麻恵、河﨑豊彦、阪上幹子、治部明子、角田涼太、田邉友美、直林裕、馬場浩行、ホッジ クリスティーナ紀子、実原玲菜、宮﨑久美子、森﨑萌、山村和恵、山本美穂、横川あゆみ、吉田武史
ベーシックコース 7名
遠藤天、金城ちはる、髙木知里、田中暁、二関郁子、橋本晶子、細江恵美子
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