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【イベントレポート】「日本版ヤングケアラーアクションデー2023 イギリスに学ぶヤングケアラー支援――当事者同士のネットワークがもつ意味」

3月2日に「日本版ヤングケアラーアクションデー2023 イギリスに学ぶヤングケアラー支援――当事者同士のネットワークがもつ意味」を開催しました。


昨年度に引き続き、2回目の開催となる日本版ヤングケアラーアクションデー。

今年は、イギリスでケアラー支援に関する啓発や政策提言等を行う慈善団体であるCarers TrustのAndy McGowan氏にオンラインで講演いただきました。テーマは、“Nothing about us, without us - Bringing about change through the voices of young carers” (「私たちぬきに私たちのことを決めないで――ヤングケアラーの声を通して変化をもたらす」)。



ケアラー支援の先進国として紹介されることの多いイギリスですが、ヤングケアラーがケアによって学業や仕事、メンタルヘルス等への影響を受ける状況は変わらず、当事者や支援者たちは状況の改善を政策に訴え続けています。政策提言する際には、当事者向けの調査データをもとに、当事者が自ら政治家に訴えかける運動が行われます。イギリスの今年のアクションデーのテーマは、“Fair futures for young cares ”(「ヤングケアラーに公平な未来を」)。今年は政府や自治体、関係機関の責任・役割を明確にするための様々な項目を盛り込んだ、“The Young Carers Convenant”(「ヤングケアラー規約」)が初めて発表されます。


また、ヤングケアラー支援を進めるにあたっての3つの枠組みとして、Andy氏からはイギリスのヤングケアラー研究者であるSaul Becker氏が提唱する3つのポイントが示されました。①予防(そもそも責任の重いケアを担うのを防ぐ)、②軽減(ヤングケアラーが提供するケアの量を減らす)、③介入(ケアの影響を減らす)。日本ではどんな枠組みのもと、支援が進んでいるでしょうか。


イベントの後半では、YCARP発起人でありNPO法人CoCoTELI代表の平井登威氏より、いくつかのコメントがありました。「ヤングケアラー」という言葉で見落とされてしまうグレーゾーンの問題、特に医療や福祉につながりづらい精神疾患や依存症のある人をケアするケアラーを発見する難しさについて指摘されていました。


参加者からも質問や感想を沢山いただき、活発な議論が行われました。日本でも多機関多職種連携が謳われていますが、医療や企業との接点は少ないのが現状です。そうした分野がどのようにヤングケアラー支援を担っていけるのか。イギリスでの様々な工夫が紹介されました。また、実態に沿った支援が実現するために、当事者参画において声なき声をどのように拾っていくのかといった話もでていました。


支援が進む今、「ヤングケアラー」という概念や当事者参画のあり方について、改めて考える機会となりました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。



写真に写っていない方も含めて、33名の当事者・サポーターにご参加いただきました。

(文責:河西)



参加者感想文抜粋

  • UKが進んでいるところ、日本と同様に苦労されているところが分かり、参考に出来る部分が多いと思いました。ノウハウを活かし、日本に合わせた形でシステムや考え方を輸入していけると良いと思います。Andyさんが共有されたリンクも参考になるので、YCARPさんや協力者(企業)で翻訳してWEBで紹介などが出来るといいですね。

  • 私たちぬきに私たちのことを決めないでと言う言葉が印象的でした

  • イギリスでは当事者の声をとても大事にされていて、ヤングケアラーの権利を関係する支援者をはじめとした社会が守っていく意識が自然なものとして根付いていっているのだと感じました。日本ではまだその段階まで至るには時間がかかるかもしれませんが、「当事者の声を一番に」ということは忘れず・ぶれずにヤングケアラー支援について考えていきたいと感じました。貴重なお話をありがとうございました。




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