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【イベントレポート】子ども・若者ケアラーの安心・安全な語りのための講習会―依存症経験者の当事者活動から学ぶ―

7月6日(土)に「子ども・若者ケアラーの安心・安全な語りのための講習会―依存症経験者の当事者活動から学ぶ―」を開催し、26名が参加しました。

昨今、ヤングケアラーに関するメディア取材や講演会等、当事者が自身の経験や考えを語る場が増えているなか、YCARPでは当事者の安心・安全な語りのための取り組みを昨年度から始めています。

今年度は、依存症を経験した人の当事者団体である一般社団法人神戸ダルクヴィレッジ 代表理事の梅田靖規氏、京都大学東南アジア地域研究研究所助教/国立精神・神経医療研究センター客員研究員の山田千佳氏のお二人より、ガイドブック「あなたの声を届ける:依存症を経験した人やその家族が社会に向けて体験談スピーチを行う際のガイド」に基づいて、スピーカーとして活動してきた当事者の経験や思い、工夫を伝えていただきました。当事者が公に自らの経験を語ることは社会の理解を促進したり自身の変化に目が向くきっかけになったりすると同時に、聴き手の反応に過剰になるなかで、わかってほしいとの思いから自身の経験の辛い部分ばかりを強調して話してしまう/経験を誇張して伝えてしまうという問題や、わかってもらえないという思いによるメンタルヘルスの悪化といったリスク等があることについてお話いただきました。また、こうした問題への対処として、当事者が講演後に無理をせず休むなどのセルフケアをすることや自分を肯定的に捉えた状態で「聴き手を変えようとしない」という心構えで臨むこと、当事者が自分自身のおかれた状況に気づけない場合もあることから支援者も含めて周りがサポートすることなどもお話いただきました。

子ども・若者ケアラー(ヤングケアラー)の領域においては、こうした問題は支援者にも十分に知られておらず、孤独な状況のなかでスピーカー活動をしている当事者がいます。支援者や当事者団体は、語ることによる再トラウマ化などの問題への対処を含めて自分たちでできることとできないことがあること、語れる当事者ばかりではないことを自覚しながら活動を進めていく必要があると感じました。YCARPでも当事者が安全な環境で安心して声が届けられる社会を目指して、引き続き取り組みを続けていきたいと思います。


(文責:河西)


参加者感想文抜粋

スピーチを行うにあたって、「求められている体験」と「自分自身の体験」が果たして一致しているのか、悩んできました。お送りした質問に、「壮絶な体験でないからこその価値がある」とのお言葉をいただき、もう少し自信をもって話してみようと思えました。 近日に控えているスピーチのことを信頼できる人に伝えて、当日終わった後はリフレッシュできるようできるだけ体制を整えておくようにします。どんな体験をもっている自分でも、どんな風に聞き手に伝わっていても、自分を大事にしていいんだな、と感じることができました。ありがとうございました。


・梅田さんのお話は、共感する点がとても沢山ありました。 私はこれまでに2回、お話をさせてもらったことがありますが、一般向けではありませんでした。はじめての時は大学の精神看護学の一環ということで、一般より理解が得られやすいと思っていましたが、どのように話せば良いかよく分かっていなかったこともあり、自分の状況を分かりやすく表現したくて、普通に生活している人には起こらない出来ごとを話したら、思った以上にその内容のインパクトが強過ぎたようで、本当に伝えたいことがあまり伝わらなかったと感じました。 私が頑張って来たことを知ってもらうことで、沢山の今頑張っている人を理解して寄り添って欲しいのであって、大変なことを乗り越えられてはいないし、かといって『かわいそうな人』でもないことは、なかなか伝わらないものだな、と感じています。一般向けの場合なら、もっと伝わりにくくて誤解されてしまいそうで、今回の梅田さんのお話を聴いて、まだ一般向けにお話をするのは私には無理かなと思いました。ただ、私はフラッシュバックの対処を自分でできることと、精神科で充分なフォローも受けられる環境にあるので、発信したくても出来ない人の代弁というのはおこがましいですが、発信できる人が無理のない範囲で発信していくことで、世の中の理解が少しでも深まれば良いな、と考えています。長文になり失礼いたしました。


・依存と向き合って前に進んでいる方のお話が聞けて良かった。理解されたいと思って話して、傷ついてしまう事は共感できると思った。ただ、当事者同士でいる事がセーフポイントになるのは運が良い人だけだと思うし、依頼を受けて話す事は今まで想定していなかったことなので、共感できない部分もあった。


・私は当事者として人前で話したことはありませんが、 外部からの依頼の間に入って若者へ声をかけることがこれまでありました。そこで聞いている話と今日のお話に共通点が多く、 何がリスクで、どういった配慮が必要なのかなど改めて整理することができました。今後もアドボカシーのひとつとして当事者の話を聞くことや他者へ話をする機会を設けることがあります。今日のお話を基に、声をかける若者はもちろん、いろんな人と体験談を語ることについて話していきたいと思いました。


今回の講習会の内容をさらに詳しく知りたい方へぜひ、ガイドブック「あなたの声を届ける:依存症を経験した人やその家族が社会に向けて体験談スピーチを行う際のガイド」をご購入下さい。https://amzn.asia/d/0dMhaaCG


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