2022年11月〜12月にかけて実施した「当事者とともに考える子ども・若者ケアラー支援のため専門職養成講座」についてお知らせします。
アドバンスドコース修了生:伊貝麻恵、川﨑敦子、河﨑豊彦、佐野ちひろ、八木尚美、山村和恵
(修了要件:すべての講座を受講し、各回レポートをすべて提出した者)
ベーシックコース修了生:鈴木養子、安田亜美
受講生アンケートより抜粋
講座1「なぜ子ども・若者ケアラーなのか」斎藤真緒(YCARP共同発起人、立命館大学)
予防として、しんどいといってから支援に入るという事後救済的なものではない。相談の手前ですべきことは何なのか、単純に「人間関係を作る」というだけでは(とても大切であるし、第一優先事項ではあるが)危険な気もする。人間関係を作ろうという最近の支援者側のメッセージはどのように考えていけばいいか。あと、緊急度の高くないケースの対応の遅れは非常に実感してるか、大人が長期的なことに対する構えと明確にわかりやすい支援にこだわり過ぎている面もあると感じた。
ケアが必要な人の、周囲の人(ケアラー)に関心を向けることやニーズを聞いていきたいと思いました。
講座2「逆境の中にある子ども・若者に対する相談支援の基礎理念」井出智博(北海道大学准教授)
慢性的な権利侵害とメンタルヘルスについて、講座を踏まえて自分自身の支援実践に活かせると感じました。精神障害の人の主体性と社会的経験に通じるものがあると思いました。 登壇の当事者の人たちは当事者同士でどのように繋がりを持っているのか、とても興味を感じました。また、自分のグループでも、答えはグループの中にある気もしました。
権利の保障という視点を取り入れた支援、肯定的な将来展望を描けるような支援を心がけたいと思います。 自分がどのような視点で人と関わっているか、勝手な自分の価値観を押し付けていないか、支援が必要な人の懐に入れるような支援をしたいと思います。
講座3「学校と地域の居場所から見える子ども・若者ケアラー」幸重忠孝(NPO法人こどもソーシャルワークセンター理事長)
長いこと居場所を作ってこられたこと勉強になりました。県の事業を受けると人数など数にこだわりがちですが、当事者の一番いい形でつながり続けられることを努力していこうと思います。
今ある学校の役割や可能性を知れたこと、地域の居場所としての役割、啓発活動の具体的取組みが知れたこと、全てが自分の地域で出来ることだと思いました
講座4「精神保健福祉におけるケアラー支援」知名純子(京都精神保健福祉士会)
医療関係者として、治療の前段階での病気への理解や啓発にもっと力が入れられたらいいなぁと思います。また、治療されている人たちが回復の経験を共有出来る機会もあればいいなと考えました。
ストレス反応は保健室では非常に身近に、また生徒でもよくみられる症状です。また無力感もよくみられます。ケアラー本人が病院にいきたいといったときに、保護者の反対やお金の問題がありこの辺りが非常に難しさも感じました。滋賀は精神科、心療内科がたしか全国でもない地域といわれてます。またケアラーの家族が病院に繋がらなく、ケアラー本人が苦しさを感じるときのケアもこれからの課題だと思いました。
講座5「家庭医療・在宅医療から考える、子ども、きょうだい、家族の支援」高橋昭彦(ひばりクリニック院長)
今後子育て支援事業で就労予定だが、「やりすぎ」「甘やかしすぎ」の真意を見極めながら、安心して子どもと関われるような親への支援は、自分の実践に活かせそうだと考えた。関係性を気付けるまでの道のりを大切にしながら、困った時に浮かぶ顔でありたい。まずは、今支援が必要だか声をあげることができずにいる家庭を行政と連携しながら一歩目を踏み出していきたい。
目の前の人を大切にすることにつきるなぁと思いましたが、そのために社会制度の利用だったり、他機関と連携したり、無いものを作り出したり…諦めず、可能性を探ったり作り出していくことでしょうか。その為には自分自身の日頃の繋がりと、人間としての豊かさを大事にしていたいと思いました。
講座6「きょうだいという立場から考える家族ケア」松本理沙(北陸学院大学、北陸きょうだい会共同代表)
きょうだい会の存在を知れたことが大きく、自分自身も実兄、義妹の病気のことを抱えていながら、どうするんだろう…という不安が薄まった気がする。 このように公的支援や制度だけでなく、自主的な繋がりや会の情報が届けられるといいし、無ければ自ら作ればいいのだなと思った。
様々な年代のきょうだいがいて、向き合う悩みが違うことがあることを忘れず伴走する。言葉が先行しているが、色々なケアの関わりかたがあっていいと伝えいく。 家族丸ごとだが、きょうだいが気持ちをないがしろにしない 言葉がけを意識していく その時の必要な情報を得られる支援 大人も感じていることも伝えていく。それらを自身の実践に活かしていきたい。
講座7「改めて子ども・若者の『権利』を考える」國本依伸(弁護士)
法的な知識が日常に全く絡んでおらず、何か起こった時の法律のような位置づけだったので、憲法・人権・条例・法律で守られている中に居ることを改めて認識致しました。 子どもに限らず、一人一人が個人として尊重されるような視点で、目の前の人に日頃から関わりたいと思いました。
子ども支援に携わるので、子ども達と一緒に人権とは何か?子ども達との協議の場をたくさん作りたい。その為には、人材や専門性を踏まえ多職種連携をより強化していきたい。
講座8「多機関・他職種連携での子ども・若者ケアラー支援」橋本達昌(全国児童家庭支援センター協議会会長)
まずは、自分の地域の中にある社会資源を知る事から始めなければならない。子育て支援事業に携わる事から、地域で行われるケース会議やコミュニティへの参加他様々な場面から支援者自身も手を広げる必要があるのではないかと思った。まずはまわりに目を向け住んでいる地域の実態を知ることから始めたい。
野尻さんがおっしゃった「無理をしない ちょっとの余力 ちょっとのおせっかい 目指すは継続」とても大切なスタンスだと思いました。 この余力をもっているからこそ、相手は「この人に今話してみようか」という空気が流れるのだと思います。 ヤングケアラーの講座を受講して、いろんな角度からの知識はもちろん、現状・問題・課題等も知ることが出来ました。 当事者の方々のフィードバックも生身で感じた偽りのない感想や質問で、とても役に立ちましたし共感するところも多くありました。 どの角度からどんな展開で進路を作っていくのか、じっくり考え行動していきたいと思います。
本講座は、日本財団の助成を受けて行なった事業の一つです。今回の実施を振り返り、来年度もブラッシュアップして継続させていきたいと考えています。
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